
温泉旅行といえば、温泉につかって疲れを癒やし、夕食で宴会を楽しむのが定番です。しかし「夕食後にもう少し飲みたい」「二次会で盛り上がりたい」という声は多いのではないでしょうか。
そんなときに便利なのが、旅館の中に居酒屋や二次会処がある宿です。
今回は岡山県美作市の人気温泉地 湯郷温泉 に注目し、「二次会を楽しめる旅館」を徹底紹介。団体旅行や社員旅行、家族旅行など、さまざまなシーンに役立つ情報を整理しました。
(写真はイメージ)
筆者:Ippon
添乗本数:約800本(国内・海外)
渡航国数:24か国
保有資格:総合旅行業務取扱管理者/総合旅程管理主任者
日本の魅力と旅行をお得に手配するテクニックを記事にして発信中。
ホテル湯の杜 美春閣 —— 団欒の余韻を歌にのせて
湯郷随一の規模を誇る「美春閣」。
賑やかな宴席のあとは、館内に併設されたラウンジへと舞台が移る。
ここでは二次会専用の空間が用意され、カラオケを備えたラウンジや飲み放題付きのプランが旅人を迎える。
浴衣姿のまま歌声を響かせるもよし、グラス片手に友と笑い合うもよし。
外へ出ずとも、宿そのものが二次会の舞台を整えてくれる。
幹事にとっては安心を、仲間には楽しさを、それぞれの形で夜を結んでゆく。
鉄道ジオラマレンタルルーム「フロール」
美春閣にはもうひとつ、特筆すべき夜の楽しみがある。
それが、鉄道模型のジオラマを備えたレンタルルーム「フロール」。
精巧に組まれた線路と風景の中を走る車両を眺めながら、酒を片手に語らう。
鉄道ファンはもちろん、子どもの頃の記憶を持つ大人にとっても、心を揺さぶられる時間だ。
宴会の余韻が、この小さな鉄道世界に接続されることで、旅はさらに奥行きを持つ。

出典:ホテル湯の杜美春閣
二次会居酒屋「桃太郎」
さらに美春閣の館内には、二次会居酒屋「桃太郎」がある。
木の温もりに包まれた空間で、郷土料理や地酒を味わえる居酒屋スタイル。
定番の串焼きや煮込みを前に、仲間と肩を並べる。大広間とはまた異なる、くだけた雰囲気の中で酒を酌み交わす時間は、旅館ならではの親密さを生む。

出典:ホテル湯の杜美春閣
季譜の里 —— 静謐な夜に溶ける一杯
それでも、語らいをそっと延長する仕掛けは用意されている。たとえば、カラオケボックス「小手毬(こでまり)」。二〜十五名で使える小部屋は、障子越しの明かりに声を乗せるための小さな舞台だ。料金は1名1時間550円(税込)。
営業時間は公式ページで20:00〜23:00と案内されているが、Q&Aでは15:00〜23:00とも記される。表記に揺れがあるため、予約時に時間帯を確認するとよい。
夜の過ごし方をこの宿らしく整えているのは、食後の一杯の扱いだ。
2025年から導入されたオールインクルーシブは、夕食時の日本酒・ビール・ウイスキー・ハイボールなど幅広いドリンクに加え、客室冷蔵庫のドリンクや喫茶コーナーのコーヒー/ソフトドリンクまでを「宿泊代金に込み」とする。
ボトルのシャンパン等は対象外だが、夜をせかさない“余白の設計”としては十分に豊かだ。
とはいえ、この宿の核はやはり食と場の美しさにある。旅のスタイルに合わせてあしらわれた五つの食事処——庭園をのぞむ「山ぼうし」、団らんの「石榴」、個室の「山草花」、小宴会場「花林亭」、そして三十名規模の「さくら」。椅子席・掘りごたつ・畳と設えを変え、宴会ではカラオケやプロジェクターにも応じる。賑わいよりも所作を大切にするこの宿では、二次会の輪郭もまた、端正だ。
一方で、喫茶「花輪舞(はなろんど)」は15:00〜21:00/8:00〜11:00に開く。ここは“お酒を深める場”ではないが、食後のコーヒーや黒豆茶で会話をやわらかく締めくくるにはちょうどいい。夜更けを急がず、温度を保ったまま。
この“静かな二次会”の思想は、館内ルールにも通う。全館禁煙(喫煙所を除く)へ移行したのは2025年1月。
香りの秩序を保つための選択だ。
——季譜の里の夜は、声を張らずに続いていく。
杯の音も、言葉の温度も、静けさの中に整う。賑わいは外に、余韻は内に。
湯郷の夜を、美しくたたむ術がここにある。




